必要経費の控除

アフィリエイトなどのネットビジネスの収入については雑所得か事業所得として申告するとお伝えしてきました。
そこで、ここでは雑所得と事業所得の必要経費について紹介します。

雑所得も事業所得も基本的には、総収入金額から必要経費を控除して計算します。
簡単に説明すると、売上から費用を引いて利益を計算するというイメージです。

それでは、例としてアフィリエイトサイトを運営している場合に、必要経費として計上できる費用と計上できない費用について説明していきます。

必要経費について知っておきたいこと

初めにお伝えしておきたいことがあります。

それは、基本的に必要経費として認められる費用の範囲は極めて狭いということです。
どのくらい狭いのかというと、基本的にアフィリエイトによる収入を得るために直接要した費用しか認められないとお考えください。

また、事業関連の費用と家事関連の費用の線引きをしっかりしなければなりません。
これらの按分をするときは、税務署を納得させられるような合理的な方法による必要があります。

さらに、むやみやたらに飲食費などの交際費を必要経費とすることはオススメできません
収入と直接紐づいていない交際費は、税務調査で狙われるポイントです。

また、雑所得の場合は、単価が10万円以上の物を購入したときは、一括で必要経費とすることができません。
そのときは減価償却費として耐用年数の期間にわたり必要経費として計上していくことになります。

そしてとても重要なことですが、領収書などの証憑は必ず保管しておかなければなりません。
保管が必要な期間は7年だと理解しておいてください。

具体的な費用ごとの検討

以下では、具体的な費用ごとに必要経費として計上できるかどうかを解説していきます。

◯△×は次のことを示しています。
◯は、必要経費として計上できるもの
△は、合理的な按分が必要なものorグレーゾーンのもの
×は、計上しないことをおすすめするもの(できないとは言いません)

サーバー代・ドメイン代…◯

ネットビジネスにおいてはサーバー代やドメイン代は必要なものであるため、当然に必要経費として計上できます。

インターネット代…○△

ネットビジネスを運営するためにはインターネット環境は必要であるため、必要経費として計上できます。

しかし自宅のインターネット回線の場合は、プライベートでも使用していますよね。
そのため、事業部分と家事部分で按分する必要があります。
合理的な按分方法では、料金÷家族の人数×事業用として使っている時間の割合などが考えられます。

モバイル通信代…○△

外出先などでテザリングして作業をしている場合は、モバイル通信代も必要経費として計上できます。

ただし、プライベートと兼用のスマホなどの場合は、事業部分と家事部分で按分する必要があります。

コンピューター関連機器の購入代…◯△

パソコン、スマホ、キーボード、マウス、プリンタ、スキャナ、Wi-Fiルーターなどのコンピューター関連機器の購入代のうち、ネットビジネスの運営のために必要なものは必要経費として計上できます。

ただし、プライベートでも使用している場合には事業部分と家事部分で按分が必要です。

デスクワーク用品購入代…◯△

机やイス、デスクライトなどパソコン作業をするときに使用しているものもアフィリエイトなどのネットビジネスの運営に必要だといえます。
よって、こちらも必要経費として計上することができます。

ただし、プライベートでも使用している場合には事業部分と家事部分で按分が必要です。

ソフトウェアの購入代…◯△

ネットビジネスの運営のために役立つソフトウェアはたくさんありますよね。
その購入代については、運営上必要なものと考えられるため必要経費として計上することができます。

ただし、プライベートでも使用している場合には事業部分と家事部分で按分が必要です。

書籍代…◯

ネットビジネスの運営のために参考書籍を購入した場合は、必要経費として計上できます。

Web関連素材購入代…◯

WordPressのテンプレートや画像素材などを購入した場合は、必要経費として計上することができます。

アフィリエイト商材購入代…◯△

アフィリエイト商材を購入した場合は、必要経費として計上することができます。

ただし、レビュー用に購入したものを記事にした後にプライベートでも使うことがあると思います。
そのときは事業部分と家事部分で按分が必要です。

外部ライターへの外注費…◯

アフィリエイトなどのウェブサイトの記事を外部ライターに依頼した場合は、その費用は必要経費として計上することができます。

ただし、あくまで第三者に外注した場合のみだとお考えください。
雑所得では、家族に仕事をしてもらってお小遣いをあげたとしても、必要経費にすることはできません。
(事業所得の場合は、一定の要件を満たせば家族に支払った金額を必要経費として計上することができます。)

リスティング広告代…◯

アフィリエイトなどのウェブサイトに誘導するためのリスティング広告代は、必要経費として計上できます。

交通機関の運賃・コインパーキング代…◯×

アフィリエイトサイトの運営のために、交通費を支払った場合は必要経費として計上することができます。

ただし、ショッピングに行ったものの目当ての物が見つからず結局何も買わなかったときは、必要経費に含めることはできません。
また、取材に行ったもののその内容がアフィリエイトサイトに反映されなかった場合なども、必要経費に含めることはできません。
さらに、何かプライベートな目的で行ったついでに買い物や取材をした場合も必要経費にすることはできません。
この場合は事業部分と家事部分で按分計算をしたとしても否認される可能性が高いと思います。

ガソリン代…△×

ネットビジネスの運営のために、ショッピングや取材に行くときにガソリン代を支払った場合は必要経費として計上することができます。

基本的な考え方は、上記の交通機関の運賃などと同様です。

ただし、事業部分と家事部分で按分計算が必要です。
合理的な方法としては、走行距離で按分することが一般的だといえます。

駐車場代…×

マイカーをアフィリエイトなどのネットビジネスの運営に使っているとして、その駐車場代を必要経費に計上することはお勧めしません。
事業部分と家事部分で按分計算をしたとしても否認される可能性が高いといえます。

電気代…△

ネットビジネスの運営のためには、電力はなくてはならないものですね。
そのため電気料金は、必要経費として計上することができます。

ただし、合理的な方法により事業部分と家事部分で按分計算をする必要があります。

なお、エアコンなどの冷暖房機器で使う電力は省くのが妥当だといえます。
快適な室温で作業することはアフィリエイトの運営上必要なこととも考えられます。
しかし、空調機器に使用するための電力を事業部分と家事部分で線引きするのは難しいため、必要経費には含めにくいというのが実際のところだと思います。

ガス代…×

一般的にアフィリエイトなどのネットビジネスの運営のためにガスは必要ないと思います。
したがって、ガス料金を必要経費とすることはお勧めしません。

料理などをして記事にしている場合でも、その料理は写真を撮った後に食べるなどして最終的には家事として消費されていると考えられます。
このような場合のガス代は、家事部分の支出として判断することが妥当なため必要経費とは認められないといえます。

水道代…×

一般的にアフィリエイトなどのネットビジネスの運営のために水道は必要ないと思います。
したがって、水道料金を必要経費とすることはお勧めしません。
基本的な考え方は上記のガス代と同様です。

自宅兼事務所の事務所代…△×

事業所得では、自宅の一室をアフィリエイトなどのネットビジネスの運営にための事務所として使用している場合は、そのスペースに対応する家賃を必要経費として計上することも可能です。
ただし、合理的な方法で事業部分と家事部分で按分する必要があります。
面積と使用時間で按分する方法が一般的だといえます。
この方法によると按分割合はかなり低くなると思います。
税務調査で狙われやすいポイントであるため、しっかりと按分するようにしましょう。

一方、雑所得として申告する場合は、このような自宅の事務所スペース代を必要経費として計上することはあまりお勧めできません
雑所得くらいの事業規模ではそもそも事務所が必要ないことも多いです。
そのため必要経費に該当するという根拠を示すことが難しいといえます。

サイト運営専用の事務所代…◯

自宅とは別の場所に、アフィリエイトなどのネットビジネスの運営のためだけに事務所を借りている場合は、その家賃を必要経費として計上することができます。
この場合は、雑所得でも問題ないと思われます。

セミナー代…○×

アフィリエイトなどのネットビジネスに関するセミナーなどに参加した場合は、その参加費を必要経費として計上することができます。

ただし、そのセミナーなどとネットビジネス・アフィリエイト収入の対応関係を合理的に説明できる場合に限ります。
その対応関係を示すことができないのであれば、必要経費としては認められません。

商談のための飲食費…△×

いわゆる接待交際費です。
ネットビジネス・アフィリエイト収入との対応関係を合理的に説明できる場合に限り必要経費として計上できます。

失敗に終わった商談、つまりネットビジネスの運営に成果をもたらさなかった商談に関する飲食費は、必要経費として認められない可能性が高いと考えられるため注意が必要です。
基本的にネットビジネスの運営に関する接待交際費は、あまり必要経費として計上しないことをお勧めします

スタバのコーヒー代…△×

別にスターバックスでなくても構わないのですが、喫茶店などでパソコン作業をするときがあるかと思います。
そのときは、さすがにそのお店で何かを買わないといけませんよね。
わかりやすい例として、スタバでのコーヒー代をあげてみました。

はたして、このような、いわば場所代の代わりとして購入する商品代は必要経費として計上できるでしょうか。
あまりお勧めはしませんが、必要経費として計上できなくもないと思います。

ただし、その場所で相当の作業をしたという証拠を残しておきましょう
レシートを見ただけでは、単純にコーヒーを飲んだか、ネットビジネスに関する仕事をしたか判別できないからです。

また、細かい話にはなりますが、その作業内容もウェブサイトの更新などに関わるものであることが望ましいといえます。
参考となるページをインターネットで見ていただけでは、アフィリエイト収入との対応関係が弱いとして否認されるおそれがあります。

さらに、休日など時間的にも空間的にも制限がないときに、わざわざ自宅や事務所以外の場所で作業したのであれば、その理由を説明できるようにしておきましょう

 
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